「あなたは今、自分のこれからの人生に、何か目標を持っていますか?」
もしそんな質問をされたら、あなたはどんなことを考えますか?
「毎日の会社の仕事が忙しくて、そんなの考える余裕もないよ。」とか、「家のローンと子供の教育費を稼ぐのにやっとで、自分のことは後回し。」そんな諦めに似た考えが頭をよぎりませんでしたか?
いつも会社のため、上司のため、同僚のため、家族のため、・・・と、他人からの期待に応えることだけに囚われていると、自分のコントロールできる領域ではないため、ずっと相手に振り回されっぱなしの人生になってしまいます。
でも、そんな人生は楽しくないですよね?
もしあなたが明日死ぬ運命だったとして、自分の人生を振り返った時、良い人生を過ごせた、と納得できるでしょうか?
もしあなたが、他人を満足させるためだけに自分の人生を捧げてきたのだとしたら、一旦立ち止まって、これからもずっとそういう人生を過ごしていくのが本望なのか、よく考えてみてください。
他人のために自分の時間と心を犠牲にしてきた代償
体と心を痛めつけて来た日々
そういう私も、2022年7月までは、他人を満足させるために自分の時間や心を犠牲にして生きてきました。
しかし、長時間のデスクワークが当たり前の会社生活の疲労とストレスが蓄積され、30歳の時には急性腰痛症で立ち上がれなくなり、救急搬送されて入院、その直ぐ後には化膿性扁桃腺炎で高熱が出て入院。
2022年2月、脊柱管狭窄症の手術
コロナ禍の2020年、50歳の時には、再び腰の状態が悪化し、左足のつま先の痺れと慢性的な腰の痛みのため、整形外科を受診したところ、すべり症が原因の脊柱管狭窄症と診断されました。
主治医から提案された手術方法は2つありました。
1つ目は背骨のぐらつきをなくすために金属のプレートで固定するもの。この方法は、腰の部分を大きく切開するため、回復までに最低3か月は安静にしている必要がある反面、症状の再発の可能性が低いメリットがあるとのことでした。
2つ目は、内視鏡による低侵襲タイプの手術で、背骨の中の空間を走っている神経が背骨の内側の壁に当たらないように、骨を削って空間を広げるというもの。こちらは回復までに必要な期間が短く、入院期間は約1週間程度ということで、早く日常生活に復帰できるメリットがある反面、すべり症の症状の進行があると2年ほどで症状が再発してしまうリスクがあるというものでした。
当時の私の考えとしては、出来るだけ早く回復し、仕事に復帰しなければ会社の同僚に迷惑を掛けてしまう、自分が推進を任せられているプロジェクトが停滞してしまう。という焦りや、3か月もの長期間会社を休むこと=休職になるため、その間給与が出なくなることで家計に大きなダメージを与えてしまうのは耐えがたいことでした。
結果的に、後者のタイプの手術を選択し、主治医の見立ての通り、入院後わずか5日間という短期間で退院となりました。本来であれば、その後、一定期間リハビリを行う必要があり、入院期間はもっと長くなるはずだったのですが、当時はまだコロナ禍だったため、手術を受けた病院ではリハビリ科の受付を停止していて、別の病院でのリハビリを受けるよう主治医から案内がありました。
わずか一週間たらずで自宅に帰ってこれたところまでは良かったのですが、術後の回復が思わしくなく、今度は手術した方と逆の右脚の坐骨神経痛に悩まされ、整骨院への通院・リハビリを含め2か月の入院と自宅療養を要しました。
ちなみに、3年以上経過した現在(2024年2月時点)でも、時々右の腰に違和感があったり、右足の指先が痺れることがあり、完全には治癒していません。
2022年7月、適応障害となり2か月半欠勤
2022年7月には、重要案件のプロジェクトマネージャーとしての責任の重圧、過剰な業務量、部門長のパワハラが原因で突然頭の中が真っ白になり、パニックで何も考えることが出来なくなってしまいました。
直属の上司に症状を伝え、1週間休暇を取って心を落ち着けようとしたものの、どんどんネガティブ思考が悪化し、死んでしまいたい。と考えるようになりました。自宅マンションのバルコニーの手すり越しに、階下の地面を見つめて、
「ここから飛び降りたら、もう嫌なことは何もかも無くなる・・・」
そんな状態になっている私の異変に妻が気付き、
「そんなに辛いのなら、もう会社なんか辞めていいから!お願いだから死んだ方がいいなんて言わないで!」
と泣きながら私を制しました。
過去一度だけ受けたカウンセリング
過去1回だけ、上司からのパワハラと仕事の重圧の苦しさから何とか逃れられないかと、ダメ元で会社のオンラインカウンセリング制度を利用したことがありました。相談する前は、
「こんな話をしたところで、カウンセラーが自分の悩みの原因であるパワハラ上司を左遷してくれるなんて出来っこないし、会社の中の環境が変わらなければ、今の自分の悩みだって解消する訳がない。」
そう思っていましたが、いざ話をしてみると、というより、私がほぼ一方的に自分の辛い状況を吐き出し、カウンセラーの方はそれを遮ることなく、相槌を打ったり、時折共感の言葉をかけてくれたり、私がどうしたいのかを質問を投げかけたりしてくれました。
すると、「50歳を過ぎてこの年ではもう転職は難しいと自分では思っているので、起業のためのコミュニティに入会して準備を始めたんです。」と、私自身が問題の解決策を口走っていたのです。
そして、カウンセリングの部屋を出る頃には、何だか心が軽くなった気がして、前向きな気持ちになっている自分が居ました。
とっさに思い出して受けたカウンセリングで事態が好転
私は心が崩壊して再起不能になる寸前、まだほんの少しだけ正気を保っていたのかもしれません。ふと、過去に一度だけ受けたことのある、会社の社内カウンセラーへの相談制度を思い出したのです。
パワーステアリングが故障して重くなかなか回ってくれない車のハンドルを切るような、鈍重な頭の状態のまま、何とかカウンセリングの予約を入れました。
カウンセラーの方は、前回も私の話を聴いて頂いた方を指定しました。その方であれば、過去にも私が置かれていた状況を把握しているため、何か助けになることを言ってくれるかもしれない。と、藁にもすがる気持ちでした。
オンライン形式のため、パソコンの画面越しにカウンセラーの方に状況をお話ししました。「苦しくて、もう仕事が手に付かない。死んでしまいたい。」そんなことを口走っていたと思います。
私の状態を見て、これは緊急性を要すると判断されたのでしょう。カウンセラーの方は、一通り私の話を聴くと、すぐに産業医との面談を受けるようにアドバイスされました。
カウンセリングを受けた日の翌日、産業医との面談を申し込み、状況を話すと、
「すぐ仕事をお休みした方が良いですね。但し、産業医だけではその指示を下すことはできないため、すぐに心療内科を受診してください。心療内科の主治医の診断書を得た段階で、休職等の指示を人事部に出します。」
と説明されました。
人生初めての心療内科の受診についても詳しくお話したいのですが、話が長くなってしまうので別のタイトルでお話します。
診療内科受診の結果、主治医の診断は「適応障害」でした。そして2か月の療養を要するとの所見が示されました。
主治医の診断書を産業医に提出したことで、産業医から会社の人事部に対し、2か月間の休職、および休職後はパワハラを行った上司と関係する仕事をしないように人事上の措置を取ること。との指示が出されました。
私自身がまだ辛うじて正気を保っていて、カウンセリングのことを思い出せたことで、結果的に私は自ら命を絶たずに済み、ここから事態は徐々に好転していきます。
人生を振り返る時間
結果的には復職後の配属先の調整に時間が掛かったこともあり、2か月半の欠勤(私が在籍している会社では、有給休暇を使い果たした後、一定の欠勤期間を経た後、休職扱いとなります。)となりましたが、この経験がきっかけとなり、一度立ち止まって人生を振り返り、自分が本当はどんな人生を送りたかったのかをじっくり考える機会を得ました。
人生を振り返った結果気付いた、自分らしい生き方
2022年9月に復職してから1年4か月(2024年1月現在)が経過しました。
この間、自分は将来こういう人生を送りたい、という目標に向かって歩み続けてきました。
私は現在、会社員をしながら、自分のワクワク熱量の源である、野のへらぶな釣りと、これまでの人生で様々な逆境をばねに乗り越えて来た経験をもとに、私が経験してきたのと同じような辛く苦しい思いをしている方を応援する、野のへらぶな釣り傾聴師という一人商いをしています。
将来的には他人から縛られる会社員を卒業し、自分の大好きなことから生まれた世界に一つだけの一人商いで人の役に立ち、毎日ワクワクした気持ちで自律的に、自分らしく生きていくことを目指しています。
自分が将来こういう人生を送りたい、という目標が決まったら、いつその目標を達成したいか、具体的な時期を設定し、その期日までに何をすればよいのかを逆算の思考で考えるとよいと言われています。
また、頭の中で考えるだけでなく、それを紙に書いてみる(=言語化する)と、思考が整理できます。
例えば、私の場合、娘が2人いるのですが、住宅ローンの返済が終わり、下の娘が社会人になり、教育費の負担が無くなる年を、会社員を卒業して本格的に一人商いを始動する年に設定しています。
すると今度は、ゴールと現在の状態の間のギャップが何なのか分かるため、いつまでに何をすればそのギャップを埋められるのか?が整理できます。
このように、ゴールから逆算していつまでに何をする、という事柄を書き出していくと、どんどんアクションプランが出来上がってきます。
それも、会社で上司や同僚から指示されて、嫌々やる仕事とは訳が違います。
何しろ、自分が将来こんな風に生きて行きたい、という目標を実現するためのタスクですから、考えるだけでもワクワクしてくるのではないでしょうか?
あなたも、自分が〇〇歳までにこういう人生を送れるようになる!というゴールを設定し、逆算のものの考え方で、自分がコントロールできるタスクを実行していくと、ゴールに一歩近づいたという達成感、自分の成長の実感を得ることができて、毎日に張り合いが出てくるかもしれませんね。